紙一重の努力

亡き父が生前何度も僕に語りかけてくれた言葉がある。

 

「紙一枚の厚さでいい。紙一枚分だけ、普段の自分より努力しろ。周りの奴らより努力しろ。」

 

「紙一重。紙一重の努力がいつしか塵も積もって、誰も超えられない大きな壁を超えられるようになる。」

 

「紙一重の努力がいつか未来で、自分を遥か遠くの高みに連れていってくれる」

 

父は僕が生まれて間もなく、家族を養うため、人生を変えるため、ヤンチャで怠惰だった若い頃に訣別し、心を入れ替え、人知れず努力を重ね、社会人として、大人として、一人の男として、そして父親として、真っ当で誰もが敬意を払う、仕事と人生を手に入れた。

 

僕は子供ながらにその姿を見てきた。

 

だから僕も父の言葉を胸に

 

「紙一重の努力」を積み重ねて今日も生きる。

 

 

ほんの5分、今日の仕事の振り返りを行なう。

 

一問でもいい。学びたい勉強の問題を解く。

 

少しでいいから身の回りを整理して明日を迎える。

 

ほんの少しだけでも家族のために家事を手伝う。

 

全て少しでいいから、「何もしなかった昨日の自分」とは訣別して一歩でいいから前に進む。

 

こうして毎日を踏みしめて前に進むことで、人は生きることを実感し、恵みを受け取り、他者へも恵みを分け与える人生に変わる。

 

不思議なもので、毎日の努力というのは、「ほんの少しだけ」と考えると行動に移しやすい。

 

そして、「ほんの少しだけ」と思ってやり始めたことも、すぐにはやめることなく結果としてしっかりと実のある努力をしようとする。

 

 

今日も一日、後悔のない「やり切った今日」を生き抜くことで、新鮮な明日がやってくる。

 

何もやらなかった「今日」を過ごしても新しい「明日」は来ない。決して来ない。

 

 

今日も一日、「紙一重の努力」をして、新鮮で新しい世界の待つ「明日」を僕は迎える。